近年ブームとなっているタコ釣り。
手軽に挑戦できて、思っているより簡単に釣れる。
そしてなんと言っても食べて最高に美味しいということで、子供から大人まで、女性にも人気のターゲットになっています。
そんなタコ釣りですが、実はどこでも釣っていいわけではありません。
全国各地で漁業権が設定されており、知らずに採ってしまうと密漁になってしまうこともあるんです。
ということで今回は、タコ釣りに関連するとても重要な「漁業権」について確認していきたいと思います。
漁業権とは？
漁業権という言葉はニュースなんかで聞いたことがあると思いますが、内容についてはいまいちわからないという方も多いでしょう。
実は釣りをする上でとても大切なことなのでここで簡単にまとめておきましょう。
漁業権とは「一定の水面において特定の漁業を一定の期間排他的に営む権利」と言われています。
要約すると『一定期間、特定の場所で漁業を営むことができる権利』といった意味で、漁師さん達は基本的にこの漁業権を取得してその場所で漁業を行っています。
逆に言えば、この権利を持っていない釣り人などの部外者がその場所で漁業（遊漁）をすると、漁業権侵害になってしまう場合があるんです。
そうならないためにも、一般の釣り人は行こうとしている釣り場に漁業権が設定されているのか、そこで釣ろうとしている水産動物が漁業権の対象種になっていないかということを事前に知っておかないといけないのです。
普段は何も気にしないで釣りをしているかもしれませんが、人があまりいない場所で釣りをする場合や、ポイントを新規開拓しようとする場合は必ず事前に確認をしておきましょう。
釣り人に関わる漁業権の種類とは？
それではこの漁業権についてもう少し具体的に見ていきましょう。
漁業権は大きく分けて3種類の権利あります。
漁業権の種類
| 漁業権の種類 | 存続期間 | 内容 |
| 共同漁業権 | 10年 | 採貝採藻など、漁場を地元漁民が共同で利用して漁業を営む権利 |
| 区画漁業権 | 5年または10年 | 一定の区域において養殖業を営む権利 |
| 定置漁業権 | 5年 | 大型定置等を営む権利 |
これらの内、主に釣り人に関係してくるのが「共同漁業権」です。
共同漁業権が設定されている漁場内では、アワビ・サザエ等の貝類、ワカメ・コンブ等の海藻類、イセエビやタコ等、共同漁業権の対象となっている水産動植物を部外者が採ると漁業権侵害となる恐れがあるんです。
タコも共同漁業権の対象！
そうなんです。
タコは全国各地の多くで漁業権の対象になっているんです。
「手軽に釣れて楽しい！」「タコが釣れて嬉しい！」と楽しむのはいいんですが、タコは釣って良い場所ダメな場所があるのは知っておかなければいけません。
そしてこれを軽く考えてはいけません。
現在はかなり厳しく取り締まりが行われていますので、どうせ注意されるだけだろうなんて軽く思っていると、とんでもなく痛い目を見ることに、、、。
漁業権は釣りだけじゃなく「採捕」が禁止！違反は密漁！
ここで注意しておきたいことがあります。
実は漁業権に抵触する行為は釣りだけじゃなく採捕も対象となります。
つまり、潮干狩りや磯遊びで対象種を採る行為なども漁業権に抵触し、違反になってしまうのです。
近年では海水浴ついでにアワビやサザエなんかを採ってしまって、ニュースになっているのをよく見かけますよね。
家族で磯遊びに来ているお父さんが子供にカッコいい所を見せようと、シュノーケリングで採ってきてしまったり、若者がバーベキューで食べようと仲間同士で採ってきてしまったりするのでしょうが、、、。
その行為は「密漁」です。
もはや知らなかったでは済まされない時代です。
軽い気持ちで対象種を採ってしまい、犯罪行為に手を染めることのないようにしましょう。
神奈川県の共同漁業権設定エリアを確認！タコ釣りができる場所はどこ？
それではいよいよ一番知りたいところ。
漁業権がどこが設定されているエリアで、どこならタコ釣りをしてもいいのか？
これは全国各都道府県によって違うのでそれぞれの確認が必要なんですが、今回は神奈川県の共同漁業権を例に見ていきたいと思います。
神奈川県の場合はeかなマップが地図でわかりやすく表示されているのでこれを参考にしていきます。
▶神奈川県の共同漁業権が設定されているエリア
eかなマップでは、共同漁業権が設定されているエリアには青色で網掛けがされています。
漁業権を持っていない者は、この網掛けエリア内で対象となっている水産動植物は採捕できません。
▶神奈川県の共同漁業権が設定されていないエリア
よく見てみると、eかなマップには網掛けがされていないエリアがあり、このエリアについては共同漁業権が設定されていません。
つまりこのエリアは釣り人がタコ釣りをしてもOKのポイントなんです！
▶神奈川県で共同漁業権が設定されているけど、タコは対象外のエリア
一見マップに網が掛かっていて漁業権が設定されているかと思いきや、実は対象種にタコが入っていない漁業権エリアも存在するんです。
これは「共同漁業の種類及び時期の一覧」という資料で確認できるのですが、「共同第2号」と「共同第5号」の漁場にはタコが含まれていません。
マップで見ると、この2つのエリア。
共同第2号エリア
横須賀市長沢から三浦市南下浦町金田までの地先。
この辺りはボート釣りが盛んなエリアなので、ボートで沖に出ればタコを狙うことができそうです。
共同第5号エリア
続いて三浦市剱埼地先。
だいぶ沖ですが、この場所もタコ釣りが可能となるエリアです。
ただ、かなり岸から遠いので一般人的にはあまり現実的ではないですね。
神奈川県のタコ釣りのポイント厳選5選！
なんとなくタコ釣りができる場所できない場所、釣りしてもいいところダメなところがわかってきましたね！
それではそんなeかなマップで見つけた神奈川県のタコ釣りOKのポイントの中から、厳選して5ヵ所をピックアップしてみました。
▶大磯港エリア
大磯港エリアには共同漁業権が設定されていないようです。
一帯に網掛けがされていませんので、港の外側も内側も狙うことができます。
サビキ釣りなどのファミリーフィッシングのイメージが強い釣り場ですが、意外とタコも釣れるんですよね。
▶江ノ島灯台エリア
観光地として全国的に名高い江ノ島も、実はタコ釣りが可能な場所があります。
湘南大堤防と呼ばれる所謂白灯台周り～オリンピック公園まではOKですね。
それから表磯の一部も網が掛かっていませんが、基本的に磯場は禁止というのが一般的な気がするのでこれに関してはマップのズレかもしれないし、ちょっと微妙な気がします…。
裏磯方面は全エリア網が掛かっているので、その辺でタコを採ってしまうと漁業権侵害になりますので注意してください。
▶城ヶ島岸壁＆三崎港エリア
こちらも観光地ですが、城ヶ島岸壁と三崎港にもタコ釣りOKエリアがあります。
網が掛かっていないからと言っても、そもそもが立入禁止になっている場所があるので、このエリア全体では釣りができませので注意してください。
城ヶ島岸壁と三崎港と言えば、昔から地元のお爺ちゃんたちが細々と釣っていたポイントです。
数年前に爆釣年があり、大型のタコが湧きに湧いて大フィーバーしたことがありましたね。
▶八景島エリア
横浜を代表するテーマパーク、八景島エリア。
目の前の釣り場、通称”八景島対岸”も有名なタコ釣りポイントです。
足場が高めなのでもし大型が掛かったらタモがないと取り込みは難しいでしょう。
▶海釣り施設エリア
横浜にある海釣り施設3施設（大黒海釣り施設、本牧海釣り施設、磯子海釣り施設）でもタコ釣りが可能です。
ファミリーフィッシングで賑わう海釣り施設は足場も良くトイレも食堂も完備しているので、安全、安心にタコ釣りが楽しめます。
お父さん、お母さんは是非、お子様と挑戦してみてください。
タコの漁業権侵害は違法！もし密漁した場合の罰金は？
そんなこんなのタコ釣りに関する漁業権。
何度も言いますが、これを守らないと漁業権侵害となります。
漁業権侵害＝違法です。
漁業権を侵害して、違法に海産動植物を採捕してしまった場合は‟密漁”となってしまうのです。
それではもし密漁をしてしまった場合、どうなってしまうのか？
これは現在、漁業法第百九十五条に定められていますが、漁業権を侵害すると最大100万円の罰金が科せられてしまうのです。
この漁業権侵害は、以前は罰金20万円が上限とされていましたが、近年、悪質な密漁が増えたことで改正法が施行され、上限が100万円まで引き上げられたのです。
ほんの出来心で、、、1匹だけなら、、、なんて思っていると、いつか必ず痛い目を見ることになります。
くれぐれも一時の迷いで犯罪に手を染めないように注意しましょう。
ちなみに専用の道具を使っているわけでもなく間違って釣れてしまうこともあるかもしれませんが、その場合は速やかに逃がせばOKなので安心してください。
まとめ
ということで今回は、タコ釣りに関する漁業権についてのお話でした。
「釣り」は子供から大人まで関係なく気軽に楽しめる遊びですが、そこにはルールやマナーはもちろん、法律も存在します。
正しい知識を持って楽しませてもらいましょう。
※本記事はeかなマップ及び神奈川県の資料を参考にしています（2023年7月現在）
※法律改正などで内容が変更されている場合がありますので最終的には自己責任自己判断でお願いします
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