江ノ島の一級磯『裏磯』。
都心からも比較的近い観光スポットでもあり、誰もが知るあの“江ノ島で本格的な磯釣りが楽しめる”とあって、神奈川県内のみならず、近隣関東圏内の釣り人からも、とても人気の高い釣り場です。
しかし、ちょっと角度を変えて見ると、そこは外洋に面した磯場。
波やウネリの影響を受けやすく、荒れた状況になると波が這い上がってきて、非常に危険な場所なんです。
先日釣行した際、そんな磯場にもかかわらず、ライフジャケット未着用で釣りをする釣り人がたくさんいて、しかもその多さにとても驚きました。。。
釣り場は一級なのに、マナーは、、、。
今回はそんなお話。
濡れている磯は危険!
江ノ島にある有名な一級磯“裏磯”は、釣りのポイントとしては大きく分けて「大平&ボラ場」と「トウロウ&大黒の鼻」周辺にポイントが分けられます。
このポイントはその日の潮位にもよりますが、満潮近くになると波が磯上を越えてくる場合があります。
磯場が常に濡れていたり、コケが生えてたりするような場所は、潮位により水没したり、波が被りやすいという証拠で、先日僕が釣行した際も「大平&ボラ場」の磯場一帯は濡れており、水溜まり箇所が多くありました。
現場を見てもらえばわかりやすいです。
明らかにこの磯場一帯が波の影響を受けやすいということがわかりますよね。
ちなみにこの写真は帰り際で、潮がだいぶ下げてきた時間帯です。
海面から比較的高さがありますが、この時間帯でも時折ウネリが這い上がってきていました。
こういう場所へ初めてエントリーする際は、しばらく後ろで待機して、波の被り具合を見ておくと良いです。
そうすると、どこから波が入ってきやすいとか、どこが危険な立ち位置だとかが見えてくるので、エントリーする箇所を決める上でのヒントになるでしょう。
必ずじっくり様子を見てから安全な磯際に向かおう。
ちょっと見た感じではそうでもなくても、何十分に一回、何分に一回と、時々大きな波・うねりが押し寄せてくるので、しばらく見ておくことが重要です。
大ウネリが危険!な江ノ島の裏磯
裏磯への初釣行となったこの日の海は、荒れまくりというわけではないんですが、時々大きなウネリが入ってくる日でした。
釣り場に到着した頃は満潮に近い潮位で、磯際に立っていた時は、数分に一回、波が磯上を這い上がってきて、5~6歩隣では膝下ぐらいの勢いのある波が押し寄せてきて、あせってその場で踏ん張ったし、、、。
気を付けないとマジでヤバイという危険を感じました…。
磯は油断が命取りになるワンよ!
それを見て周りより一段高い場所へ釣り座を構えたんですが、釣りをしていて度々くる大きなウネリで、そこまでも水が上がってくるような状態だったんです。
その時の周囲の様子をビフォー&アフターで見てみてください。
怖いですから…。
通常Before
からの~!
大ウネリAfter
ドッカぁ~ん!
こういうのが急に押し寄せるから怖いんです、磯は。
おわかりいただけますか?
この怖さ。
さっきまで水が来なかったところに突然来たりします。
コレが磯です。
ちなみにこの僕の背中側では、磯際に立っていた人達は慌てて後ろに逃げたものの、その場に置いていた荷物が流され、水浸しになっていました。
それでも「危なかったー」と言いながら、数分後にはまた磯際に立って釣りをするんですけどね…。
いや、、、その気持ちはとてもわかります。
でもさすがにそんなに水が被ってるところは危ないんじゃないかな…?
とは思いましたが、そうは言っても自分もすぐ隣で釣りしてるので人のことあまり強く言えないし、そんな人達に何か言ってもトラブルになるだけだし、、、。
でもただ一つ、、、。
ライフジャケットを着ないのはさすがにダメでしょ!
磯場で、しかもこんなウネリがある日で、さすがにノーライジャケはないわ。
裏磯でライフジャケットを着用しない釣り人
実は一番最初に磯に来た時に挨拶をした常連さんとも話になったのですが、一帯を見渡すとライフジャケット未着用の人が多すぎるのに驚きました。
おそらくこの日、裏磯に来ている半数近くの釣り人がライフジャケットを着用していなかったのではないかと思います。
そんなレベルです。。。
釣りにおけるライフジャケットの重要性は近年は特にうるさく言われてきていることですが、現状というのはこんなもんなんだなと思い知らされましたよ。
でも何でこの時ふとそう感じたかと思うと、いつも行っている三浦半島の磯場よりもそういう人が圧倒的に多かったからかもしれないです。
地域性なんだろうか。
たまたまなんだろうか。。。
釣り中の海中転落者の生存率
いずれにせよ、どこであろうと、磯場は危険ということをもっと知らなければいけません。
本当、どれだけ危険な場所で釣りをしているのか知って欲しいし、万が一の時の生存率の差を知って欲しい。
参考資料に海上保安庁のデータをもとに作成した「釣り中の海中転落者等のライフジャケット着用・未着用の生存率の違い」を見て欲しい。
ライフジャケット着用時での落水事故では生存率79%。
対して未着用時の場合の生存率は55%と一気に下がっているのがわかります。
ただ、これは“釣り中の海中転落者”という括りになっているので、全体的な統計なんだと思いますが、これを『磯場』という限定的な括りにしたとしたら、生存者はほとんどいないんじゃないだろうか…。
衣類を着用した状態で落水した時、どれだけ身体が重くなり、手足が動かせなくなるかを想像して欲しい。
うねりのある中で体の自由がきかず、ギザギザの岩場に叩きつけられる衝撃、這い上がるのに岩場を掴もうとしても手はすぐに血だらけになって掴むことすらできない状況を想像して欲しい。
磯で落水することの恐怖、海から磯へ這い上がることの難しさ、ライフジャケット未着用の恐ろしさを知って欲しいです。
「自分は大丈夫」「泳げばなんとかなる」と思っている人って多いと思うんですが、実際そんなに簡単じゃないんですよね。
一度安全な海水浴場の浅瀬でそれぞれ疑似体験してみたらわかると思うんです。
僕はウェット&ライジャケで磯渡りする時がありますが、少しのウネリで体の自由がきかない怖さを知っているし、磯場での落水で手のケガをして這い上がることの難しさを知りました。
冬場の防寒ウエアでの落水なんて想像したら怖すぎですよ・・・。
磯で膨張式ライフジャケットはダメ!
江ノ島の裏磯で釣りをしていた時、後からきた釣り人。
ライフジャケットはしていた、、、のですが、、、。
残念ながら「膨張式ライフジャケット」でした。。。
磯場で着用するライフジャケットは膨張式ではなく、“浮力材入りのフローティングベスト型”のライフジャケットが最適です。
空気で膨らませるのではなく、もともと浮く浮力材が入っているので空気が抜ける心配がありません。
逆に膨張式のライフジャケットは、空気を入れて膨らませたものなので、落水後にギザギザの磯場にぶつかったり擦れたりした際に穴が開く可能性があるため、磯場には適さないのです。
もちろん、100%穴が開くわけではないのですが、穴が開くか開かないか、奇跡に期待するようなライフジャケットって意味がありますかね?
ないよりはマシと思っているのかもしれませんが、それがいつの間にか「安心」に変わっていたら危険ですね。
割込みってやつ。
後から入ってきた釣り人。
先行していたおじいちゃん達と親しく話していたので常連さんなのでしょう。
僕の隣3mぐらいかな。
そこそこ近くて、青物狙いキャスティングにおいては、かなり狭っ苦しくなる状況でしたが、残念ながら声掛けはありませんでした。
たぶん声を掛けても無視されたり、入るのを拒否する人もいるから、黙って入るんでしょうね…。
ま、、キャストは比較的避けるように投げてくれてたのでアレなんですが、こういったところからトラブルに発展したりしますので、お互い気持ちよく釣りをするなら一言挨拶をするといいかなと思います。
マナーが素敵な常連さん
そんな裏磯にはとても親切な常連さんもいらっしゃいました。
▶情報提供してくれる常連さん
朝イチで声を掛けさせてもらった方は、“ココの前は根が沈んでてルアーを沈めてきちゃうと根掛かり多発しちゃう”とか、“いつもあの辺が釣れている”とか、“朝はこんな感じでその後こんな感じ”になるとか、“この辺は水が入ってくるから危ない”とか、めちゃくちゃ親切に色々と教えてくれたんです。
それを聞いていたから、ますます立ち位置を決めるのに慎重になれたし、初めての磯でも無事に釣りをすることができました。
帰りにもう一度挨拶に行ったら、そっち側の状況報告等を教えてくれて、情報交換もできました。
▶立ち位置を譲ってくれる常連さん
一方、僕の釣り座の近くに入っていた先行のおじさんは、「釣れてきたら交代で入ればいいよ」「ここはダメとか言う人もいるけど俺はいいからさ」なんて言って来てくれる優しいおじさんもいました。
すごく親切だなー!と思いました。
けどライフジャケットは着けてませんでした…
まとめ
そんなこんなで今回の裏磯釣行では、釣り人のライフジャケット着用の意識の薄さを痛感させられましたね。
たまたまですが、うねりで波が這い上がってくる映像が撮れたので記事にしましたが、少しでもその怖さがわかってくれたらいいなと思います。
こんな状況でライフジャケットを着用していないで落水したらほぼ助からないですよ…。
万が一が起きてからでは遅いです。
磯で釣りをするなら必ずライフジャケットを着用しましょう。
※磯の場合は『浮力材入りのフローティングベスト』型のライフジャケットを選びましょう!
フローティングベスト
長年、神奈川県に住んでいるのに、実は江ノ島には数えるほどしか行ったことがない…(笑)。 しかも江ノ島の中でも“裏磯”と呼ばれる一級磯には観光で1度行ったか行かないかで、その記憶もほぼないぐらいです。 道が空いていれば1時間もか[…]
江ノ島には通称『裏磯』と呼ばれる一級磯の釣り場がある。※正式には稚児ヶ淵と呼ばれています ウキフカセで狙うメジナや、投げ釣りのキス、ぶっ込みのカサゴ、そしてなかなか釣れないけど石鯛、その他ルアーではヒラスズキや青物といったターゲット[…]
いつも江ノ島で釣りをされている方、特に湘南大堤防へ行かれている方はすでにご存知でしょう。 残念ながら本日2021年7月1日より、江ノ島の白灯台がある湘南大堤防はついに“全面”釣り禁止となりました。 地元のおじいちゃん達ものんび[…]
すでにご存知の方も多いと思いますが、江ノ島の有名な釣り場がいよいよ釣り禁止となります。 休日にはわいわいとファミリーで賑わっていたあの釣り場です。 江ノ島 神奈川県藤沢市にある、誰もが知る超有名な観光スポット“江ノ島”。[…]
先日とても悲しいニュースが流れました。 堤防からの落水死亡事故。 釣り人ならたまに耳にする話ですが、こういった話を聞くたびに、今一度自分自身の行動を見つめ直します。 また、それとともに、普段見ている釣り人の安全装[…]
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
ご質問はお気軽に『お問い合わせ or Twitter』までお寄せください。
Follow @TActionzTwitterフォローからご質問コメントお待ちしてます!