釣りは安全ではない。「横浜沖堤防落水事故」から“命”を学ぼう。

先日とても悲しいニュースが流れました。

堤防からの落水死亡事故。

釣り人ならたまに耳にする話ですが、こういった話を聞くたびに、今一度自分自身の行動を見つめ直します。

また、それとともに、普段見ている釣り人の安全装備について考えさせられますが、皆さんは釣りをする時、安全対策はしっかりしていますか?

安全対策で気になることとして、本当に多いのがライフジャケット未着用問題。

面と向かって言ってあげることもできるけど、相手が大の大人だと物騒な事件もあるので、なかなか声を掛けれませんよね。

なのでココですいません…。

先日の事故を知り、海の恐ろしさを知り、命をもっと大切にしてもらうため、そして釣り場を守るため、釣りをもっと楽しんでもらうために、伝えたいと思います。

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横浜沖堤防落水事故

2021年2月。

横浜の沖堤防で釣り人が落水し、命を落とす事故が発生しました。

釣り人からすると『たまに聞く話』ですが、これはニュースにもなりました。

▼関連記事:横浜港で転落 釣りの女性死亡

5日昼過ぎ、横浜港にある防波堤で釣りをしていた48歳の女性が海に転落して死亡し、助けに海に飛び込んだ47歳の男性も病院に運ばれて治療を受けています。5日午後1時前、横浜港を航行していた旅客船から「海にいた2人を救助した」と横浜海上保安部に連絡がありました。救助されたのは、いずれも伊勢原市に住む48歳の女性と47歳の男性で、横浜市内の病院に運ばれましたが、女性は死亡し、男性は集中治療室で手当てを受けているということです。海上保安部によりますと、2人は横浜本牧防波堤で釣りをしていて、転落した女性を助けようと男性が海に飛び込んだということです。海上保安部は、さらに当時の詳しい状況を調べています。横浜本牧防波堤は、横浜市が管理していて、市は危険だとして立ち入らないよう呼びかけています。

出典:NHKニュース

なくなったのは釣りをしていた40代女性です。

堤防上で釣りをしていたところ、誤って落下。

その後周囲の助けもあってそのまま救助されたものの、残念ながら命は助からなかったというものです。

事故があった場所「横浜沖堤防」とは?

横浜沖堤防とは、読んで字のごとく、横浜港の沖にある堤防で、特定の船宿から渡船して釣りができる堤防です。

しかしながら、もともと釣りのために建設されたものではなく、本来は「立入禁止」の場所です。

なのになぜ釣りができるのかと言うと、長年の歴史もあってか、黙認状態にしてくれているのです。

そんな場所で釣りをすることが良いか悪いかと言ったら「悪い」に決まっていますが、過去にソーラス条約を元にして釣り場が激減した背景などもあり、沖堤防は貴重な釣り場。

“釣り”という文化に対して、行政が譲歩してくれているのかと思うと、釣り人からしたらとてもありがたいことですよね。

ただ、今回の事故。

釣り人本人の「自己責任」であることは大前提ですが、ライフジャケット未着用の人が落水となると、乗船時の確認はちゃんと行われていたのかは気になるところです。

もし十分な確認ができていなければ、管理体制にも問題があると言わざるをえません。

遊園地のジェットコースターで、一人一人ベルト確認があるのと同じだと思いますので、釣り人からの申告だけでなく、店側のチェックの徹底もお願いしたい。

今後徹底した管理をしてくれることを願います。

「防波堤・漁港」での釣り

この沖堤防と同じようなことで、知らなければいけないのが防波堤や漁港での釣り。

防波堤は津波や大きな波がそのまま地上に押し寄せることを防ぐために作られているので、裏を返せば、そういうことがある“危険な場所”だということを意味しています。

一見足場が良くて安全なように見えても、潮位が上がったら、風が吹いたら、少し荒れたら、波が防波堤を乗り越えてくるかもしれません。

なので“立入禁止”になっている場所も多いと思います。

また、漁港は漁師さんが船を留めるために作られている場所です。

言い換えれば漁港は漁師さんたちの仕事場所です。

だから今、釣りができている漁港、そこは場所をお借りして釣りをさせてもらっているという意識を忘れてはいけないのです。

ゴミを放置するなんて言語道断。

自分が毎日仕事している場所に他人がズカズカと入り込んできて、平然とゴミをまき散らしていかれることを想像してみましょう。

自分だったら許せますかね?

これらは本当は取り締まられてもおかしくないことですが、それぞれある程度、黙認してくれているのです。

なので釣り人側はこれらに対して感謝の気持ちを持って、最低限、ルールとマナー、そして安全対策は徹底していかないといけません。

堤防落水事故の原因は?

今回の事故はそんな堤防で起きてしまいました。

どうして足場の良い堤防でそんな悲しい事故が起きてしまったのでしょうか?

その原因と考えられるのは2つ。

  • 低体温症
  • ライフジャケットの未着用

低体温症

直接の原因になったのはコレだと思われます。

水面に浮かんで呼吸は確保できていても、冬の海はとても冷たく、意外なほど短時間で低体温症になり、命を落としてしまうことがあるようです。

ライフジャケットの未着用

よくある話で、やっぱりといった感じですが、今回もライフジャケット未着用だったようです。

ですが、今回は周囲の助けもあって沈んでいってしまうことはなかったようですが、一人だったらあっという間に溺れてしまっていたことでしょう。

低体温症の恐怖

低体温症とは、体温が 35℃以下に低下した状態で、正確には「深部体温」と言い、直腸温で測定して診断されるようです。

詳しい内容は『船員の低体温症対策ガイドブック』に記載されているので、知っておくと良いかもしれません。

船員の低体温症対策ガイドブック

一般的に、体温によって以下のように分類されています。

軽度低体温症35 ~ 32℃
中等度低体温症32 ~ 28℃
重度低体温症28℃以下

警告症状として、寒さにより体が震えることから始まり、その後震えが止まると自分で熱を作りだすことができず、急速に状態悪化。

思考が鈍り、正常な判断が困難となっていくようです。

そして重度低体温症となる体温が28℃以下になると、昏睡、呼吸停止、心停止、血圧低下などが起こり始めます。

寒い冬の冷たい海に放り出されれば、その冷たい水を吸ったウエアに包まれ続けることになり、思ったより短時間で低体温症になってしまうということでしょう。

ライフジャケットは命を保証するものではない

そしてライフジャケット。

今回の事故はライフジャケット未着用でしたが、例えライフジャケットを着用していても、結果は同じ事になっていたでしょう。

そうです。

ライフジャケットは100%命が助かる物ではないのです。

ただ、未着用よりは何倍も生存率が上がることは間違いありません。

落水しても致命的なダメージがなければ、しばらく呼吸を確保することができます。

命の保証まではしてくれるものではないけど、生き残る確率を確実に上げてくれるものなので、絶対に装着しよう。

堤防は海面から50cmでも這い上がるのは難しい

堤防から落水してしまった時、実は、思っているよりヤバイという話です。

もし、堤防から落下してしまった時、海面から1m位の落差があった場合は、地上までなかなか手が届かない距離なので、ライフジャケットを着けていようがいまいが、這い上がるのが難しいことは想像できるでしょう。

では50cmぐらいならどうでしょうか?

それなら手が届くから上がれる気がしますが、、、。

それが実はそう簡単にはいかないのです。

理由は2つ。

『足が着かない』ということと、『水を吸ったウエアは重い』ということ。

これはどういったことなのか?

足が着かないと這い上がり難い

足が着かない水面に浮いている状態、そして水中の岸壁際には足を掛けれる場所もない。

そんな状態から上に這い上がるには、堤防に手を掛け、足を堤防上に掛けて這い上がらなければいけません。

実は、この脚を水面から堤防の上に引っ掛けるということが、思っているより相当難しいのです。

しかも、パニックになったり、混乱している状況だと尚更。

きっと安易に考えている方も多いと思いますが、足が着く流れるプールから上に上がるのとは訳が違います。

水を吸ったウエアが重くて持ち上がらない

さらにこの時は着ているウエアが水を吸って、自重を重くさせています。

落水した方の体験談だと上着の防寒着だけで4kgぐらいの重さだったという話もあります。

スーパーマッチョマンならまだしも、普通の一般人だったら這い上がるのは相当難しいのではないでしょうか。

たかが50cmでも…。

堤防釣りは安全ではない

週末にいつもファミリーで賑わう堤防では、子供が走り回っている姿も見かけることでしょう。

和やかな風景に見えるその場所は、実はそんな危険が潜んでいる場所だったんです。

“釣り”を侮ってはいけません。

足場が良くて安全な気がする堤防釣りも、決して安全ではないんです。

事故の対策

堤防、防波堤、漁港。

そこは決して安全な場所ではないということをちゃんと理解した上で、釣りを楽しむ必要があります。

ではそこで事故が起きないために、僕たちはどう対策したら良いのでしょうか?

それには「準備」と「装備」、要するに“備え”が大切です。

釣りをする、釣りに行くというのは、ただの遊びじゃなく、「水辺に近づくこと」だということを忘れないようにしましょう。

海に限らず、どんな水辺でも危険があることはご承知のとおりです。

だからしっかり準備して、装備を万全にして、楽しい釣りに行きましょう。

複数人行動

やはり単独行動は危険です。

万が一の時に助けがあるのとないのとでは雲泥の差。

仲間がいれば、直接助けられなくても、助けを呼ぶことができます。

また仲間がいなくても、周囲に人がいる場所を選べば助けれくれるかもしれないので、釣り場に着いたら挨拶をし、コミュニケーションを取っておくことも大事ですね。
※マナーが悪い奴は何かあっても助けねーと思っている人も意外と多いです

と言っている僕もぶっちゃけ単独行動が多いので、これに関してはあまり人に言えたもんではないのですが、その代わりに万が一のための装備だったり、行き先の連絡だったり、もちろん現場での安全確認は徹底しています。

安全確認

釣り場に着いたらまず周囲を確認し、万が一落水した際の上陸箇所を確認しておきましょう。

場所によってはその先にスロープがあったり、途中に海面までの階段が設置されていたり、船が岸壁に接岸する際のクッションとなる車のタイヤなどがぶら下がっていたり、ロープが垂れ下がっていたりするかもしれません。

海面から掴まれる場所。

これがあるのとないのでは天と地の差と言ってもいいかもしれないので、よく見ておくことは重要です。

さらに、時間的に潮が引いていく「干潮」に向かっている場合は、徐々に水位が下がっていくので、今届く距離が届かなくなる恐れがあるため、より注意が必要です。

このように、もし安全が確認できないような時は、最悪、釣りを諦めることも検討しましょう。

もしも事故発生の時は…

海のもしもは118番。

  • 海南人身事故に遭遇した、または目撃した
  • 油の排出等を発見した
  • 不審船を発見した
  • 密航、密漁事犯等の情報を得た
  • 漂流、漂着木造船を発見した

これら海上事故の際は「118」番に連絡しましょう。

その際は、「いつ」「どこで」「なにがあった」等を簡潔に、落ち着いて伝えてください。

家族への連絡

そしてこれは事後の話ですが、、、。

釣りに行く前は、家族やお友達に行き先を伝えておくことが重要です。

それはもし万が一、あなたが事故に合ってしまった時、家に帰らなかった時、家族友達が探すあてになるからです。

もしかしたら事故現場でただ一人、どこにも連絡を取れずに助けを待つような状況になってしまうかもしれません。

そんな時の命綱になるかもしれないので、あらかじめ行き先を告げておくことは大切なんです。

メモでもいいし、メールでも、LINEでもいい。

Twitterでつぶやいておくのもいいでしょうから、一言でも行き先を残しておくようにしましょう。

最低限必要な装備3点

そんなこんな気持ちは十分気を付けていても、起こってしまうのが事故です。

そんな時のために最低限準備しておきたい装備がこの3つ。

  • ライフジャケット
  • 携帯防水ケース
  • ホイッスル

ライフジャケット

ライフジャケットは、釣りをするなら絶対必須のアイテムです。

そんなライフジャケットには大まかに分けて2種類、『膨張式ライフジャケット』と『非膨張式フローティングベスト』があり、釣りに行く場所によって使い分ける必要があるので、購入の際には注意が必要です。

膨張式ライフジャケット

船釣りやボート釣りなどでの使用をメインに、陸っぱりでも周りに障害物が少ない堤防などに向いています。
船の場合は桜マーク付=基本『タイプA』が必須です。

自動膨張式ライフジャケット

非膨張式フローティングベスト

磯釣りでも堤防釣りでもどこでもOK!ですが船釣りだと少しがさばります。
船の場合は桜マーク付=基本『タイプA』が必須です。

非膨張式ライフジャケット

膨張式タイプのライフジャケットはスタイリッシュでコンパクト。

膨らむと浮き輪のような状態になりますが、何かに引っ掛かればパンクして穴が開いてしまう恐れがありますし、時間の経過とともに萎んでいってしまうのが怖いところです。

逆にもともと浮力材が入ったフローティングベストは、大きくてがさばるものの、突起物にぶつかろうが穴が開く心配もなく、長時間の漂流にも耐えられるメリットがあります。

しかし、船の乗合船などは桜マーク付=基本『タイプA』が必須となっており、桜マーク付のフローティングベストタイプは、なかなか売ってないのではないかと思います。

なので、行く場所によって選択を間違えないことが重要です。

携帯防水ケース

一人で落水してしまった時や、見えなくなってしまうところまで流されてしまった時など、緊急連絡を取るための手段となる携帯電話。

水没して使用不能になってしまわないように、防水ケースに入れておいた方が良いです。

万が一の時に人の声が側にあると安心感があり、パニックになりにくく落ち着いて対処できると思います。

ホイッスル

これは意外と持っている人が少ないですが、ご存知のとおり、人の声の何倍も遠くへ届く音を出すことができるアイテムで、大声で体力を消耗することなく、周囲に存在を知らせることができます。

ただのホイッスルですが、いざという時にものすごい力になってくれるでしょう。

色は夜でも目立つ色が良いと思います。

その他、あったほうが良い物は色々とありますが、最低限これらは持っておいた方が良いでしょう。

いざという時のためのアイテム

周囲でライフジャケットを着けていない人が落水した時、助ける立場として知っておいたほうが良い物。

いざという時は浮くものを投げ入れ、助けてあげましょう。

クーラー

クーラーは非常に浮力が高く、呼吸を確保する程度なら小さいクーラーでも十分威力を発揮できるでしょう。

ロープ

届く範囲であれば、ロープ付き水汲みバケツなどを投げ入れ、それ以上流されるのを防いであげましょう。

ペットボトル

ペットボトルは意外にもかなり浮力があると言い、非常に有効な手段ですので、中に少し水を入れて、投げ入れてあげましょう。

ビニール袋

ペットボトル同様、空気を入れて、中に少し水を入れてあげれば投げやすくなります。

その他、少しでも浮かぶものは何でも投げ入れたほうが良いでしょう。

家に帰るまでが釣り

最後にライジャケットについてもうひとつ。

先ほど、『ライフジャケットは命を保証するためのものではない』と言いました。

この言葉に繋がるもう一つの意味。

ライフジャケットは『万が一の時にあなたが自宅に帰るためのもの』であることを覚えておきましょう。

落水事故を起こした時、もしライフジャケットを着用していなかったら、その時の状況によっては、流され、漂流し、最悪の場合は溺れ死んでしまうかもしれません。

溺れ死んで海中に沈んでしまえば発見も難しく、そのまま行方不明になってしまう可能性が高いです。

「溺れても人は浮くのではないのか?」

これは単純にそうでもないみたいです。

この時に水を飲み、肺に空気がない状態で溺れてしまうと、人は沈んでしまうそうです。

それからは腐敗してガスが溜まると浮いてくるようですが、その頃には家族に見せれる姿ではなくなっているでしょう。

だからライフジャケットを着けましょう。

例え途中で低体温症で息絶えてしまっても、ライフジャケットさえ着けていれば、漂流を続け、身体だけでも救助してもらえるかもしれません。
※膨張式は長時間不可

『家に帰るまでが釣り』。

こんな言い方が合っているのかわからないけど、どんな形であれ、家族が待っています。

何があっても家に帰ろう。

まとめ

自分は大丈夫。

人間って嫌な方より楽な方を選ぶので、何でもそう思いがちだけど、「安全」に関しては現実から目を反らしてはいけない。

いつ遭遇するかわからない「事故」。

そんな時のための準備、そして安全装備。

今一度、自分自身と向き合おう。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

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