日本における新型コロナウイルスの感染状況は、2021年11月現在、比較的落ち着いている状況です。
ダメージが非常に大きかった飲食業界も、徐々に復活の兆しを見せていますね。
そんな中、釣具業界はどうなっているのでしょうか?
釣り人なら肌で感じていると思いますが、ダメージどころか、むしろ需要が大きく、釣り人が増えた印象を持っていますよね。
つまり、順調に行っていると感じると思いますが、、、。
実は、そうでもないんです。
やっぱり新型コロナウイルスは釣具屋、そして釣り業界にも悪影響を与え続けていたのです。
それは一体どういうことなのか…?
新型コロナウイルス感染症の発生から現在まで
2019年12月12日にはじめて中国武漢市で症例が確認された新型コロナウイルス。
2020年1月30日には、WHO(World Health Organization/世界保健機関)が「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態/PHEIC」を宣言。
世界的な感染の勢いは止まることを知らず、3月11日には「パンデミック」の宣言をした。
その後日本では、2021年2月17日からファイザー製の新型コロナワクチンによる医療従事者への接種が始まり、4月12日からは高齢者等への接種が始まりました。
その効果は大きく、全国の新規感染者数は急激に減少し、2021年11月下旬の新規感染者数は直近1週間で10万人あたり約0.6で、療養者数、重症者数や死亡者数も減少が続いています。
一方、海外ではむしろ感染が拡大しており、日本へ新たな変異ウイルスが持ち込まれないかという点では、予断を許さない状況である。
新型コロナウイルス発生当時の釣具業界の動き
日本における新型コロナウイルスの状況を振り返ると、予想よりは意外と早く沈静化した印象で、今は比較的落ち着いている状況です。
しかしそれまでの道のりは険しく、業種によっては廃業に追い込まれたところも多く、身近な大切な人をなくしてしまった方も多かったことでしょう。
本当にただただ憎らしいです。
そんな新型コロナウイルスが猛威を振るっていたあの時、あの当時、釣具屋にはどんな影響があったのでしょうか?
そして釣具業界はどのような動きを取っていたのでしょうか?
少し振り返っていきましょう。
2020年2月8日〜9日。
大阪フィッシングショー開催前には、大手メーカーであるグローブライド(ダイワ)やメガバスなどのスタッフがマスク着用で対応することを告知、会場にはアルコール消毒液や空間除菌機の設置をしていました。
結果的に来場者は前年比で23%減。
2019年の総来場者数は59,636人で今年2020年が45,907人なので、13,729人減です。
関西では、前夜から並ぶ猛者もいて盛り上がりを見せたと言ってましたが、2割減はやはり大きく、釣り人気の低迷というよりも、やはり新型コロナウイルスの影響ではないかと、強く感じました。
その後も各地であらゆる催し物の中止が相次ぐようになり、釣具業界においても 「西日本釣り博2020』と『ザキープキャスト2020』の開催が見送られてしまいました。
そして新型コロナウイルスの影響は釣りエサにまで及んできました。
イソメ類の主な仕入れ先となっている中国国内で、外出禁止令や空輸制限などもあって、日本への釣りエサの輸入に影響。
中でもシーズン最盛期となっていたカレイの投げ釣りに欠かせない『岩イソメ』の欠品は深刻でした。
2020年3月28日(土)と29日(日)の2日間、東京都・神奈川県は『不要不急の外出自粛要請』を呼びかけました。
この時、横浜港湾局から釣り船宿に、この2日間の「出船自粛の要請」が出たとのニュースが入る。
船宿だけではありません。
千葉の市長が“今しなくてはいけないのかを考えて”と、自粛すべきことに『釣り』をあげ、TVで放送されました。
その後、緊急事態宣言の発令もあり、遊興施設など、大学や学習塾など、運動や遊技のための施設、劇場など、集会や展示を行う施設、商業施設の6つの業態や施設について、基本的に営業の休止を要請。
釣具店の中でも面積が大きい店舗(床面積の合計が1,000平方メートルを超えるもの)は休業を要請。
面積が小さい店舗(床面積の合計が100平方メートル以下)においては、“適切な感染防止対策を施した上での営業”が可能でした。
これに対して、各釣具店のほとんどは営業時間短縮にて対応をしていました。
こういった状況は、その他のインドアの業種に比べたら死活問題になるほどではなかったと思いますが、それでもやはり多少なりともお店の売上に影響があったことは間違いないでしょう。
新型コロナウイルス“特需”?アウトドア需要急増!
日本国内で第二波、第三波…と、感染拡大を繰り返していた新型コロナウイルスですが、感染の仕方は“飛沫感染”が中心ということもあり、特に飲食店のような屋内の業種には厳しい状況が続いていました。
「密」を避けるよう強く注意喚起され、仕事終わりに飲み会もできない、友達とみんなで集まって買い物にも行けない、新幹線や飛行機に乗るのも避け、気軽に旅行にも行けませんでしたね。
そんな中、一人でも楽しめる、感染リスクが比較的低い屋外の遊びとして、釣りやキャンプといったアウトドアの趣味が注目を集めるようになっていきました。
釣り業界にとってはまさに追い風。
この恐ろしき新型コロナウイルスが、思わぬ形でアウトドア業界へ“特需”をもたらしていったのです。
アウトドア需要急増の裏で起きていた釣具屋の危機とは!?
アウトドア需要が急増し、釣りに興味を持った入門者が釣具を買いに行く。
売上UPで順調!好調!
と、思いきや…。
実はそんなに楽観視できる状況でもなく、裏では深刻な問題が起きていたのをご存知でしょうか?
今でもまだ続いている釣具屋の危機とは…。
▶つり具が入荷しない!?
皆さんのお住いの近くにある釣具屋には、欲しいつり具は揃っていますか?
仕掛けや小物類、消耗品なども、何となく最近、隙間が多くなっていたりしませんか?
特にエサ釣りファンの皆さんの間では、トリックサビキがいつまで経っても入荷しないという記憶はありませんか?
カワハギ仕掛けが多くの店で売り切れになり、スカスカになっていませんか?
新型コロナウイルスが流行する前は、しっかり在庫に厚みがあって、少なくなってもすぐ補充されていたような気がしますが、最近は翌週に行っても在庫が全然補充されていない状況が散見されています。
実はここ1~2年の間、特定のジャンルがということではなく、どのジャンルも全般的に“つり具が入荷しない”という、釣具屋を襲う危機が訪れていたんです。
釣具屋に聞くとわかりますが、これ、発注してないわけではないんですよ。
発注しても入荷しないんです。
▶2021年の「新製品」も2021年度内に入荷しない!
2021年の新製品のロッドやリールも同じです。
今年僕はシマノ社製の『21アルテグラ4000XG』を買おうと思っていたのですが、、、、。
いつになっても釣具屋に入荷しません。
2021年モデル、今年の新製品ですよ!?
これ、お店の方に聞くと、やはり発注してないわけではないんです。
仕掛け類と同じように発注しても入ってこないそうです。
ちなみにこの『21アルテグラ4000XG』の発売予定はいつだったかというと…。
2021年4月発売予定でした。
今、この記事を書いているのは2021年11月下旬。
「これ、もう間に合いませんよね?」
いや、4月の発売予定だったからもうすでに間に合ってないんですが、もはや年内にすら間に合わないですよね?
2021年新製品が2021年内にお店に並ばない…。
こんなことがあるんでしょうか…。
▶品揃え不足は釣具屋の死活問題
釣具屋に行っても商品がない。
もしかしたら入門者にとってはさほど気にならないかもしれません。
なぜなら“よくわかってない”から。
でも、中級者以上になってくると知識が身に付いてくるので、色々なアイテムが欲しくなってくるでしょう。
しかし、そこに欲しい釣り具がなく「品揃えが悪い」という判定を下されてしまえば、その釣具屋の印象は悪くなってしまうのです。
いつまでもその状況が続けば、もしかしらもうその釣具屋には足を運ばなくなってしまうかもしれないのです。
そうです。
釣具屋にとって品揃えの悪さは死活問題なのです。
釣具屋につり具が入荷しない理由とは…?
それではなぜこんな事態になっているのでしょうか?
釣具屋につり具が入荷しない理由とは一体何なのでしょうか?
もちろん新型コロナウイルスの影響であることは間違いないんですが、もうちょっと具体的にその要因を説明していきましょう。
釣具屋につり具が入荷しない理由、それはズバリ…。
この二つです!!!
釣具屋につり具が入荷しない理由
- 入門者が急増し、需要が供給を上回ったため
- 生産工場がフル稼働しなくなったため
入門者が急増し、需要が供給を上回ったため
新型コロナウイルスが原因でアウトドア需要が高まり、釣りの入門者が急増。
つり具全般の需要が急激に高まり、需要が供給を上回ったことが一つの要因です。
生産工場がフル稼働しなくなったため
しかし、釣りの入門者が急激に増えたからと言って、翌週になっても翌々週になっても、いつまでも補充されないほど、そこまで需要が上回っているのでしょうか?
これ、例年通りならそこまで欠品状態が酷くならなかったはずなんです。
というのも、実はつり具の生産工場がある国が新型コロナウイルスの影響を受けて、まともにつり具を生産できなかったのが主な原因となっていたのです。
そうです。
今の時代、一部のメーカーを除き、大手メーカーであっても生産を海外で行うことがほとんどなんです。
例えば僕が購入予定のシマノ社製『21アルテグラ4000XG』という商品があります。
生産国はマレーシア。
シマノはマレーシアに工場がありますが、マレーシアは新型コロナウイルスの影響で一時ロックダウンしていました。
この影響により工場の稼働率が低下、その結果生産数の遅れが出て、日本の釣具屋に新製品が並ばない事態となっているのです。
ちなみにダイワも同様です。
ダイワもベトナムに工場がありますが、こちらもロックダウンが実施されており、釣具の生産に影響を及ぼしています。
メーカー直撃!2021年新製品は年内発売に間に合うのか?
それでも一部のネットショップでは2021年新製品を見掛けることができる。
これはどういうことかと言うと、商品の少なさをいいことに、通常売価よりも高額なプレミア価格で販売しているショップで、ある意味、高額だからこそ残っているという言い方もできます。
以前記事にしましたが、Amazonや楽天だからと言って安心してはいけません。
定価より高い金額で販売しているショップもあるので注意していただきたいと思います。
それでは、釣具屋に通常価格で2021年新製品が並ぶのは一体いつになるんでしょうか?
こういうのは気になっちゃって早く知りたいので、TAKちゃんお得意のメーカーに直撃作戦を慣行!
今回は僕が購入予定の『21アルテグラ4000XG』について、シマノ社に確認しました。
すると、、、。
「生産国のマレーシアでは今はロックダウンも解除され、工場はフル稼働していますので、順番に納品をしています」
とのことでした。
※2021年11月11日現在
もう少し詳しく聞いてはみましたが、どこのお店にいつ入るのかというのは具体的にはわからないが、とにかく注文があった順番で納品しているという回答でした。
ここ最近、ようやく『21ナスキー』シリーズが釣具屋に納品され始めているようです。
待ちわびている『21アルテグラ4000XG』も、その他の2021年新製品も、もうそろそろ店頭に並び始めるかもしれませんね。
2021年の年内には間に合えばいいですね!
釣具屋に与えた“特需”は実は将来的には“損”だったのか?
そして最後にもう一つ。
この“コロナ特需”で初心者が増え、釣具屋、そして釣り業界は一時的に良い思いをしたかもしれない。
しかし、これには賛否両論。
その目を釣り場に向けると、急激に増えた初心者のマナー違反が問題になっています。
これまで“グレー”で通っていたもの、何とか黙認で来ていたものも、あまりのマナーの悪さにいよいよ我慢ができなくなっていっているのです。
特に「ゴミ問題」は深刻で、釣り場に残すゴミの放置が原因で、各地の釣り場がどんどん「釣り禁止」になっていってしまっているんです…。
しかし、釣り場のマナー違反というものは、コロナ特需がある以前からあったものなので、新たに釣りを始めた初心者が全て悪いというわけではありません。
でも一部のそういうモラルのない方々が急激に増え過ぎました。。。
“釣り場が減る”ということは、必ず釣り人の減少に繋がってくるでしょう。
少なくとも釣り場が減ることで釣り人が増えていくことはないはずです。
そうなると、長い目で見たら今回の“コロナ特需”は、釣具店にとって、釣り業界にとってはあまり喜ばしいものではなかったのかもしれません。
釣り場はキレイに。
これ以上釣り場を減らさないためにも、ゴミは必ず持ち帰りましょう。
まとめ
今回は新型コロナウイルスが与えている釣具屋、釣具業界への影響ということをテーマとしてまとめてみました。
果たして2021年新製品はいつになったら普通に店頭に並ぶのか?
今年中に『21アルテグラ4000XG』は買えるのか(笑)?
でもそんなことを考えていると、2022年の新製品もどうなることやらって感じですよね。
もうある意味そういったものも楽しみの一つにしていきたいと思います。。。
また、新型コロナウイルスの脅威はまだなくなったわけではありません。
先述のとおり、海外では新たな変異ウイルスが生まれ、感染者が急激に爆増している国もあります。
いつ日本に再びウイルスがやってくるかわかりませんので、引き続き感染対策は意識していきましょう!
そしてとにかく、、、ゴミは持ち帰りましょう…。
みんなで釣り場を守っていきましょう!!!
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