釣り人の皆さんなら見かけたことはあるのではないでしょうか?
いや、もしかしたら気づかないで、気にしないでそのまま食べてしまっている方も多いかもしれません。
捌いてみたら、なんか“身が異常に真っ白でブヨブヨ”な個体が…。
何これ…?
魚の病気???
食べれるの???
と、見た瞬間に気付く人は気付くと思いますが、僕も今年になってふと気づいたので、今まで釣れていてもそのまま食べてしまっていたかもしれません。。。
今回はそんな“身が異常に真っ白でブヨブヨ”な魚の謎について迫っていきたいと思います。
釣れた魚の身が異常に「真っ白でブヨブヨ」!
それは冬場にアジングに行って釣れた沢山のアジを捌いている時でした。
ふと異常を感じたんです。
明らかに他とは違う“身が異常に真っ白でブヨブヨ”な個体が紛れていることを…。
実際の写真がコチラです。
なんか変だワンよ!
お分かりになりますよね?
色合いは明らかに真っ白で乳白色というか白濁しているというか、、、。
そして身質にハリがなく、水っぽくてブヨブヨ…。
通常の身と比べればすぐわかります。
全く違いますよね?
明らかに異常な身です。
頭を落とした断面だけを見てもすぐに気づくでしょう。
左が正常の身、右が白くなっている身です。
なんとなく白っぽい気がするなーってのもあると思いますが、ポイントは透明感です。
アジングしてると混ざってくるこの個体。
ある時はヤバイぐらいの確率でこの真っ白ブヨブヨなアジが混じっていることがありました。。。
ちょっと待てよTAK、コレは多すぎじゃないかワン?
ヤバくないですか???
せっかく美味しく食べたかったのに、、、これは一体何なんだ…?
呼称は「身焼け?」「白太(しらた)?」「ろうあじ?」
きっと自分以外にも同じように気になっている人がいるはず。
ということでまずはググってみることにしました。
するとこういったキーワードが出てきたんです。
- 身焼け
- 白太
- ろうあじ
身焼け
魚を釣り上げる時や、漁で水揚げされる時に暴れることによって体内が熱せられ、身に熱が加わったように白っぽく茹でた感じになることがある。
白太(しらた)
産卵直後のマダイなど、栄養分が繁殖に使われて痩せている個体で、業界用語で白太と呼ばれる。
ろうあじ
ろうそくのように真っ白なアジだから“ろうあじ”。
造語ですが、そうやって呼んでいる人もいるようです。
どれも症状としては皆一致していました。
やっぱり他にもそういった魚を釣っている人がいたんだ、と思いましたね。
ですが、通常の透明感のあるアジとなんら変わらないように一緒に釣っている魚です。
なので、一部だけ身焼けをしているというのはちょっと違います。
そしてサイズがほとんど小さい個体なので、産卵をするような個体には見えないし…。
真っ白な身は”クーラーの真水を吸った”説ではない
そしてもう一つの説として、クーラーの中で真水を吸ってしまったことが原因ではないかということ。
よく聞く話だけど、魚が水を吸ってしまうってどういうことなんだろう?
この現象を知るにはまず浸透圧の関係を知ろう。
浸透圧とは、2つの濃度が異なる液体が半透膜(水は通すが水に溶けている分子は通さない膜)を介して隣り合った時に、濃度を一定に保とうとして水分が濃度の薄い側から濃い側に移動する圧力のこと
海水魚は人間と同じように塩分濃度0.9%ほどの生き物で、塩分濃度3.4%の海水の中に入ると体から水分を吸い取られ、水分不足になってしまいます。
それを補うために海水を飲みますが、そのままだと大量の塩分が体内に入ってきてしまうので、エラを使って塩分を外に出して、0.9%を保つように塩分濃度調整を行っています。
逆に塩分が低い環境に塩分の高いものを入れると、そこに水分が浸透していく現象が起きます。
淡水の塩分濃度は約0.01%で海水魚は塩分濃度0.9%。
クーラーの中の淡水でできた氷水が溶けだして、塩分濃度が低くなった水の中に魚を入れておくと、水分が魚体へ浸透していき、体中の細胞が水分で膨れていく。
これが、釣った魚が真水を吸ってブヨブヨになってしまうと言われる現象ですね。
と、浸透圧について勉強したものの、、、。
今回検証している個体はこれが原因ではないんです。
釣れた魚はジップロックに入れてからクーラーに入れていたので、直接水に触れてはいません。
なので、氷水が魚の体内に入ってくることもないのです。
では一体、原因はなんなんだよ!?
真っ白な身は東京湾LTアジ船ではほぼ釣れたことがない
これらは深夜のボートアジングで釣れたアジから見つかっています。
また、ボートアジングに行っている海域の陸っぱりアジングで釣れるアジの中にも、この身が真っ白なアジが混じっているという話を聞きます。
逆に不思議なことに、日中の東京湾のLTアジ船ではこのような個体はあまり釣れたことがないんです。
記憶に残ってないのでほぼ釣れていないでしょう。
これはどうしてなのか?
考えてみると‟攻めている場所が違う”ので、もしかしたらポイントポイントによっているいない、多い少ないといったのがあるのかもしれませんね。
真っ白ブヨブヨ個体の特徴
“身が異常に真っ白でブヨブヨな個体”。
沢山釣って捌いていると、これらには特徴があるということに気付き、捌く前に何となくわかるようになったんです。
それはコチラ。
- 小さい個体に多い
- 細く痩せている個体に多い
- 死後硬直しない
大きい個体にはまず、いないです。
明らかに小さくて細く痩せている個体に多いので、そのようなアジだった場合は、キープせず、すぐにリリースしてました。
どちらかわからない個体も、家に持ち帰った時に身体全体がフニャフニャしていて、死後硬直していない個体もかなり怪しいです。
昨年の秋までアジングは陸っぱり専門で、その当時ももしかしたらこういった個体が紛れて釣れていたのかもしれませんが、ここまで目立つことはなかったので、気づかなかったんだと思います。
ボートアジングを始めてその数の多さに気づいたんですが、、、沖はヤバイのか?
食べれるの?
それでは結局、この“身が異常に真っ白でブヨブヨな個体”な魚は食べれるのか?
食べても問題ないのか?
やっぱりこれが気になるところですよね。
気になるワンね。
でも、そう思う前にすでに食べちゃってますから食べれるんだと思います(笑)。
食べたからってお腹が痛くなったこともありません。
ただ、見た目でブヨブヨなのがわかるとおり、刺身で食べようとすれば、口に入れた感触もブニュブニュです…。
はっきり言って、水っぽくて不味い。。。
焼いたり揚げたり、火に通せばわかりにくくなると思いますが、、、おまかせします。。。
身が真っ白な個体はアジだけじゃない!シーバスにもいる!
最近はアジング率が高く、アジばっかり釣っていたので他の魚のことは気にしてなかったんですが、この“身が異常に真っ白でブヨブヨ”な魚の謎について調べていた時にふと思い出したんです。
そう言えばシーバスにもいたって…。
当時は血抜きが完璧だと思っていたんですが、思い返せば確かに身がブヨブヨした刺身だったことは間違いありません。
なんか美味しくないなと思ったんですよね~。
シーバスも通常はアジと同じく、やっぱり透明感がある身をしているはずなんです。
これが外見がどうだったかまでは覚えていませんが、これも細長いやつだったのかな…?
もし、釣った瞬間わかるようであればリリースかな。。。
魚の病気なのか?その原因を専門家に直撃!
それでは、いよいよです。
というか、やっとかよって感じですが、この身が異常に真っ白でブヨブヨ”な魚の謎について、ネット検索だけでは判明しそうにないので、TAKお得意の直撃作戦を発動!
とある専門家に直接聞いてみました!!!
すると有力な情報をGETできたので、以下の回答をご覧ください!
当部の研究者に確認したのですが、類似した現象を観察している者がおりました。彼の話では水温が比較的高い時期に出ており、この現象は実験室の中で水温の高い条件でマアジを飼育するとこうした個体が出てくることがあるようです。TAKさまのお話しでは冬場にでてくるようなので別の原因があるのかもしれませんが。原因の解明には至っておりませんが、プロテアーゼという酵素による自己消化が原因の可能性があるということです。
某水産関係研究所ご担当者様より
むむむ!?
僕が確認したのは年が変わった1月、まさに真冬でした。
だから水温が高いというのは当てはまらないんです。
ただ、僕が釣りをしていた横浜「根岸湾」エリアには、秋冬でもGTが釣れる有名な温排水ポイントがあるので、そういったところで過ごした豆アジが、小アジになり、辺りを回遊していたという可能性も考えられます。
それと気になるワード「プロテアーゼ」とは何ぞや???
タンパク質をより小さなポリペプチドや単一のアミノ酸への分解を触媒する (速度を上げる) 加水分解酵素の総称のこと。
うん。
はっきり言って、意味がわかりません(笑)。
僕レベルの脳ではついていけないぞ。。。
そこで誰でもわかるように、さらに嚙み砕いて聞いてみたところ、こんな感じのイメージで良いとのことでした。
ということです。
やっぱり“水温”が何かしら影響して、身体に影響を与えているのか?
水温が低い真冬に暖かい場所と寒い場所を行き来して、何かおかしくなってしまったのか?
思えば人間もそうですよね。
急に寒くなったり、急に熱くなったりすると、体温調整がうまくいかずに風邪をひいてしまったりしますが、もしかしたらそれと同じような現象なのかもしれません。
まとめ
ということで、今回は「魚の病気?釣れた魚の身が異常に真っ白でブヨブヨな原因を専門家に直撃!」と題して、ずっと気になっていた現象について確認していきました。
最終的な完璧な答えは見つかっていないのですが、なんとなくそれに近づくことができたと思っています。
間違いないのは、これら身が異常に真っ白な個体の魚が紛れて捕獲されることがあるということ。
それは「身焼け」「白太(しらた)」「ろうあじ」なんていう呼ばれ方をして、アジだけでなく、シーバスやマダイなど、その他の魚でもそういった個体が見つかっているということ。
そして生食では美味しくない、、、。
のは間違いないです。
春のアジ、夏のアジ、秋のアジ。
それぞれチェックして、また何か分かったらご報告させていただきますね!
最近の陸っぱりアジには紛れてないのかな~?
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
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