皆さんは『集魚灯』を使用した釣り人を見かけたことはありますでしょうか?
もしかしたら集魚灯って何?という方もいるかもしれませんが…。
堤防の夜釣りでたまに見かけますが、強力な光を発する物体を用いながら海面を煌々と照らし、サビキ釣りをしている人を見かけたことはありませんか?
あれは所謂『投光器』と呼ばれるものを使用した釣りで、あの光で魚を集めているんですよね。
つまり「集魚灯」です。
その他にも、手に収まるサイズの集魚灯も販売されていますが、実はこれら『集魚灯』を使用する釣りには、規則が設けられていることがあり、これを守らないと罰金・罰則が科せられてしまう場合があるんです。
今回はそんな“集魚灯”についてのお話です。
集魚灯とは?
集魚灯とは、その字の如く“魚を集める灯(明かり)”ですね。
夜釣りを例にしていきましょう。
夜の時間帯、一部の魚は明かりのある所に集まる習性があります。
夜に点灯していて海面に明かりを注いでくれる常夜灯なんかはまさにそんなところ。
道路沿いなら電柱の明かりもそうですね。
そういった場所には、プランクトンを始めとするエサが集まり、今度はそれを食べるために魚が集まる仕組みです。
そして、その効果を狙った『集魚灯』と呼ばれるアイテムが販売されており、形は大きいものから小さいものまで、色々と存在します。
それらを使った具体的な釣り物は、エサ釣りならアジ、タチウオ、そしてイカだったり、ルアーならメバリングやアジングといった釣りなどがあり、その効果は躊躇にハッキリと現れます。
つまり、明かりは魚を集める力があるわけです。
強力な集魚灯を使うと爆釣する!?
それら集魚灯を使った夜釣りの中で、特にヤバイ集魚灯があります。
集魚灯=魚を集める灯。
そのアイテムとは…。
それは『投光器』です。
投光器とは、夜中の道路工事なんかで使われていそうなレベルの強力な光を発する作業用品。
その明かりを集魚灯として使っている釣り人を見たことはありませんか?
僕は夜中の堤防で見たことがあるんですが…。
サビキ釣りでアジを狙っている方だったんですが、それはそれはもう入れ食い状態で…。
頑張ってアジングしてるのでバカらしくなるほど爆釣していたんです。
アレを見た時はもう完全に“漁”やんって思いましたが(笑)。
でも、それだけ“明かり”が効果があるということを目の当たりにした瞬間でした。
集魚灯は神奈川県では使用禁止!
そんな感じで、本当に集魚効果がある『集魚灯』。
一度は使ってみて爆釣したいところなんですが、、、。
しかし、これが何と…!?
神奈川県では集魚灯の使用は禁止されているんです。
ご存知でしたか?
漁業者だけじゃなく、我々一般人の釣り人でも守らなければいけないルール。
詳しくは神奈川県漁業調整規則に記載してありますが、今回その中から一部を抜粋してご紹介していきます。
▶神奈川県漁業調整規則を確認しよう!
神奈川県漁業調整規則の目的とは、、、。
この規則は、漁業法(昭和 24 年法律第 267 号)及び水産資源保護法(昭和 26 年法律第 313 号)の規定に基づき、県における水産資源の保護培養その他漁業調整を図り、もって漁業生産力を発展させることを目的として定められたもの。
神奈川県においては、私たち一般人も、釣りを楽しむならこの規則を守らなければいけません。
それではこの規則の中で、釣りに関連しそうな部分を見ていきましょう。
第35条
まず見ていきたいのは第35条。
第 35 条 何人も、次に掲げる漁具又は漁法により水産動物を採捕してはならない。
出典:神奈川県漁業調整規則第91号
(1) 発射装置を有する漁具
(2) 歯を付けた手押しころばし(海面において使用する場合に限る。)
(3) 投網(内水面において日没1時間後から日出1時間前までの間に使用する場合に限る。)
(4) 張切り網(瀬張り網を含み、内水面において使用する場合に限る。)
(5) やな及びやななわ(道志ダムから上流の相模川水系道志川において使用する場合を除く。)
(6) 水中に電流を通じてする漁法
(7) からつりこぎ漁法(掛けなわこぎ漁法及び文ちんこぎ漁法を含み、海面において行う場合に限る。)
(8) 火光を利用する漁法(内水面において行う場合に限り、第5条第1項第9号に掲げる漁業に係る同項の許可に基づき採捕する場合を除く。)
(9) 水中眼鏡(のぞき眼鏡を除く。)を使用する漁法(内水面において行う場合に限る。)
(10) 瀬干し漁法(内水面において行う場合に限る。)
(11) びんづけ漁法(内水面において行う場合に限る。)
(12) 眼鏡かき漁法(内水面において行う場合に限る。)
ここには「してはならないこと」が書かれています。
例えば、(3)投網に関しては「内水面において日没1時間後から日出1時間前までの間に使用する場合に限る」と補足が書かれているので、この場合は、内水面の日没1時間後から日出1時間前までの間に使用する場合はダメですよと言うことです。
逆に言うと、内水面の日没1時間後から日出1時間前までの間以外はOK!ということです。
これらはどうしても法律的な文章になっているので、良く読まないと間違えやすいです。
ちなみに僕、投網についてはどこだろうと漁師さん以外はダメなんだろうと思ってましたが、そんなことなかったんですね(笑)。
ま、それはちょっと置いておいて、、、。
ここで見ておいて欲しいのは、(8)の火光(かこう)を利用する漁法です。
その補足には内水面での条件付きで可にはなっていますが、これはイコール、海水面では不可ということになります。
火光を利用する漁法は海水面では不可。
では、火光とは何か?
この火光というのは、本来「炎が出す光」または「灯火の光」のことを指します。
昔は火を灯にして漁をしていた漁船などがあったようですが、そんなイメージを抱きますよね。
じゃあ火の光じゃないライトの光はOKじゃん!
って思うかもしれませんが、この部分について関係機関に確認したら、ライト等の明かりでもダメらしいんです…。
じゃあなんでわざわざ「火光」って書くんだろう?「光」でいいじゃん!って思うんですが、、、。
とにかくダメみたいなので、まとめると…。
海では火光(ライト等の明かり)を利用する漁法によって水産動物を採捕してはいけない。
とうことで、、、。
海では集魚灯を使った釣りは禁止という解釈になるようです。
第41条
第35条の文章的には文言の部分でちょっと納得しきれない部分もあったかもしれませんが、、、。
ここでもう一つ、見ておきたいのが第41条。
第 41 条 何人も、海面において次に掲げる漁具又は漁法以外の漁具又は漁法により水産動植物を採捕してはならない。
出典:神奈川県漁業調整規則第91号
(1) くまで(幅 15 センチメートル以下のものに限る。)
(2) たも網、叉手網及びざる
(3) 投網
(4) やす及びいそがね(夜間において使用する場合及び水中眼鏡を併用する場合を除く。)
(5) 竿釣り及び手釣り
(6) 徒手採捕
2 前項の規定は、次に掲げる場合には、適用しない。
(1) 漁業者が漁業を営む場合
(2) 漁業従事者が漁業者のために水産動植物の採捕に従事する場合
(3) 試験研究機関が試験研究のために水産動植物を採捕する場合
第41条の最初の文言をよく見てください。
「何人も、海面において次に掲げる漁具又は漁法以外の漁具又は漁法により水産動植物を採捕してはならない」
要するに、海ではここに書かれていない漁法で魚を捕っちゃダメ!ということを伝えているんです。
例えば、竿釣りや手釣りで魚を捕ってもいいですよ、たも網で魚を掬って捕ってもいいですよと書かれていますよね。
しかし!
集魚灯を使って魚を捕ってもいいですよとは書かれていません。
はい。
そういうことです。
最初の文言にある“次に掲げる漁具又は漁法”の中に、集魚灯という言葉も、またそれを想像させる文言も書いていません。
そしてそれ以外の方法で水産動植物を採捕してはならないと言っているのだから…。
まとめると、ここでもまた、海では集魚灯を使った釣りは禁止という解釈になるわけです。
先ほどの第35条において、「火光」という文言に文句をつけたとしても、この第41条では言い逃れできないのです。
もう一度言います。
神奈川県の海では集魚灯を使った釣りは禁止です。
集魚灯の使用禁止の理由とは?
それでは、なぜ集魚灯を使って釣りをするのはダメなんでしょう?
使用禁止の理由はなぜでしょうか?
これは「水産資源の保護」です。
釣りに限らず漁業においても、集魚灯を使うと、捕れすぎてしまうんでしょう。
魚の捕り過ぎ問題はSNSで度々話題になっていますし、そういった問題も出てきてしまう可能性がありますよね。
これ、ある意味、禁止にするぐらい釣れ過ぎる、捕れ過ぎるとも言えるのかもしれないですね。
使用禁止とされる「集魚灯」とはどこまでの物を言うのか?
それでは使用禁止とされる「集魚灯」とは、どこまでの物のことを言うのか?
集魚灯と言える物は大小さまざまなものがありますが、、、。
先ほど少し触れていた『投光器』みたいなものは、完全にレッドカードだということが想像できますよね?
こういったのも、キャンプや災害用に使うのは便利でしょうけどね。
神奈川県の海釣りでは使用禁止です。
それから某釣りYouTuberの動画でも上がってしまっていましたが…。
ハピソンの水中集魚灯。
これも神奈川県ではアウトです。
そして、あのアジングでも有名な34とハピソンのコラボ商品「充電式高輝度LED投光型集魚灯」なんてのも発売されていますが、これも神奈川県では使用禁止ですからね(笑)!
そう。
こんな感じで大きいやつとか、明らかに「ザ・集魚灯」的なやつはダメっぽいってのはわかると思うんですが、、。
じゃあもっと小さいアレはどうなの?
夜釣りのウキ釣りや、船の深海釣りとかで使う人もいるかもしれないんですが、、、。
こういったのも、商品名にハッキリと「水中集魚ライト」と書かれてますからね。
これもダメじゃんね(笑)。
さらに、さらに、もっとみんなが使ってて、誰もが知ってるアレ。
これはどうなの?
ケミホタル。
これ、例えばウキのトップに装着して、電気ウキみたいに使うのはセーフでしょう。
電気ウキは別に集魚するものではなくて、釣り人が夜でも見えるようにするためのものですから。
でも、ケミホタルを水中の仕掛けの途中にセットして、餌を目立たせる役割を持たせたらどうでしょう???
これは微妙なラインな気もしますが、、、。
このへんも実は関係機関に確認してみたんですが、その様子を実際見てみてからの判断になるとしつつも、原則「生き物を寄せていればアウト」ということでした。
むむむ…。
これは、、、。
集魚灯は釣具屋さんでも普通に売ってるけど?
「レッドラインを越えるな」。
そんな名言を最近ニュースでも聞いた気がしたので、あまりナイーブなところは突っ込むのをやめておきますが…(笑)。
ところで、そんなこんなの集魚灯(集魚ライト)は神奈川県の釣具屋さんでも普通に売っていますよね。
神奈川県の海で使用してはいけないはずですが、そんな物を販売していても良いのでしょうか?
むしろ販売しているから買う客がいるわけで、知らない人は大丈夫だと思って買っちゃうかもしれないですよね。
これ、法的にどうかと言うと、特に問題はないんですよ。
と言うのも、集魚灯の販売自体は別に規制されていないからです。
ただ、もし大きい集魚灯を陳列していたら…。
さすがに個人的にはどうかしてると思いますけどね(笑)。
罰金も罰則もある!規則を守って楽しい釣りを!
そんなこんなの集魚灯ですが、規則を守らずに使用していた場合、どうなってしまうのでしょうか?
実はこれには罰則が設けられているんです。
今回抜粋した第35条と第41条を守らなかった場合の罰則については、どうなっているんでしょうか?
第35条の規定に違反した場合
第35条に違反した場合、次のような記載があります。
「次の各号のいずれかに該当する者は、6月以下の懲役若しくは 10 万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する」
これはかなりヤバイ…。
第35条と言えば、海水面における”火光”を利用する漁法の禁止が書かれたところです。
”火光”の文言が微妙ではありましたが、関係機関からは「集魚灯やライトは“火の光”じゃないんじゃないか」という言い訳は通用しないと言われていますから。
完全にセーフではないなら、やめておくのが無難ですね。
第41条の規定に違反した場合
それではもう一つ、第41条の場合はどうでしょう。
第41条の規定に違反した場合は、次のように記載があります。
「第 41 条第1項又は第 49 条第6項の規定に違反した者は、科料に処する」
科料とは刑罰の一種で、「1000円以上1万円未満」の金銭納付を命じられることを言います(刑法第17条)。
1万円以上の場合に“罰金”という言葉が使われるので、集魚灯の使用による違反の場合、正確には“罰金”ではないのですが、あまり聞きなれない言葉なので、タイトルでは敢えて「罰金」という表現をしています。
とうことで、第35条、第41条、どちらも罰則があることがわかりました。
もし知らなかったら、いつの間にか罰則を受けることになっていたかもしれませんね…。
ちなみに磯遊びでも守らなければいけないルールなんかもありますので、水辺の遊びに行かれる方は、各都道府県の情報を一度見ておくと良いでしょう。
各地域ごとのルールを確認しよう
集魚灯について。
神奈川県の海水面では集魚灯を使用した釣りは禁止でした。
罰則、罰金(科料)があることもわかりました。
しかし、これはあくまで“神奈川県において”の規則なので、許可されている地域もあるかもしれません。
各都道府県ごとにルールは違いますので、皆さんもそれぞれ各自治体の漁業調整規則を確認しておきましょう。
関係機関
環境農政局 農政部水産課
漁業調整・資源管理グループ
TEL:045-210-4549
FAX:045-210-8853
まとめ
ということで、今回は集魚灯を使用した釣りについてまとめてみました。
実際に罰則を受けるのはどこまでなのか、その現場での判断もあると思いますが、煌々と海面を照らす明かりはおそらく完全にアウトでしょう。
使えないのにそういった商品を買ってしまったり、知らなくて罰金を取られてしまったり、、、。
そんなことにならないよう、ルールをしっかり確認して、注意して楽しんでいきましょうね!
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
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