フラペンS85。日本のルアー界では唯一無二の存在でユーザーから絶大な信頼を勝ち取っており、もはやシーバスフィッシングを語る上で絶対に外すことはできないルアーです。世に送り出されてから早10年が経過してもなお未だその実力は全く衰えておらず、年々シーバスの数は減っているにもかかわらず毎年フラペンS85を使っての釣果が聞かれています。
店頭で見掛けなくなって段々と忘れ去られてきているかもしないし、そもそもその存在すら知らないアングラーも増えてきているのかもしれませんが、フラペンS85を使ってランカーサイズをはじめ数々のシーバスを釣ってきた経験をもとに、今この10周年という節目にあらためてフラペン愛を語っていきたいと思います。
発売から10年。シーバスを釣る実力は色あせない!フラペンS85
現代においてシーバス用のルアーは数えきれないぐらいに無限にあると言っていい。しかしその中でも‟釣れるルアー”と呼ばれて『売れる』ルアーになるのは一体どれほどあるのでしょうか。そこにはメーカーや専属プロスタッフの告知宣伝といった戦略の他、今ではSNSでの情報拡散による影響が大きく関わってくると思いますが、かつて一部のアングラーには大絶賛されつつも、そういった情報力の差で惜しくも現役を退いてしまった名作シーバスルアーもあるだろう。
その一つが「フラペンS85」です。
フラペンS85は釣具メーカーのヤマリアのルアーブランド「マリア(Maria)」から出ていたシーバスルアーで初代フラペンS85が発売されたのは2014年。今から10年も前のルアーですが決して時代遅れで使えないということもなく、まだ大切に使っている方がシーバスの釣果をSNSで発信し続けているのを見ると、やっぱり今もその力は健在で長く愛されているルアーなんだなと感じさせてもらえます。もちろん自分もその一人です。
これまでに何匹ものシーバスを釣らせてくれたフラペンS85ですが、80cmを超えるランカーシーバスを釣る確率も高く、自己最高記録となる88cmを釣らせてくれたのもこのフラペンS85です。大きい魚には大きいルアーをという話もありますがフラペンS85は85mm。時にはひったくるような突然のカウンターアタックで、時にはわずかなコツン程度のバイトで喰らいついてくるのです。
シーバスに限った話ではありませんが大きい魚というのはそれだけ長い年数を生きてきている魚なのでどれが美味しいのか不味いのか、何が危険で何が安全かということも理解しています。過去にルアーで釣られて運よく逃げ延びれたりゲームフィッシングでリリースされていたりするとルアーは食べ物ではないということも学習しているかもしれません。ランカーサイズともなると経験値は高く頭が良いので基本的には釣るのは難しいのですが、フラペンS85は何度もビッグフィッシュを釣れてきてくれました。
僕がシーバス釣りでフラペンS85の主戦場として使用しているのは神奈川県の三浦半島。特に秋~冬の季節に東京湾から産卵のために南下してくると言われるシーバスを釣りに行く時によく使用しています。これはエリア的な要因が強いのですが、三浦半島は周囲をサーフと磯に囲まれており、特に遠浅のサーフや小磯が多いエリアだからです。
こういったエリアはできるだけ遠投して広く探れるルアーが有利になりますが、遠投ばかりに気がいって自重が重たいルアーを選んでしまえば沈みが早くなり、根掛かりの危険性も高まる上、ルアー速度は早く引かなければいけなくなる。デイゲームであればこれでも良いのですが夜のシーバスゲームとなるとあまり早くルアーを動かすアクションは効果的ではありません。となるとシャローエリアでも遠投ができてゆっくり引けるルアーが欲しい。シンペンでもいいけどもう少しアピール強めなアクションが欲しい。それらを叶えてくれるのがフラペンS85なんです。
きっと皆さんが釣行しているポイントでもこのようなシャローエリアがあるとは思いますが、フラペンS85はこういったエリアにめっぽう強い。エサを求めて入ってくるやる気のあるシーバスが一口サイズのルアーを見て食らいつき怒涛の連発。一度その良さを知ってしまったらきっとやみつきになるでしょう。
時に爆発的にシーバスを釣らせてくれるフラペンS85、大型80cm超えのランカーは何匹も釣らせてくれたフラペンS85、周りが釣れていない状況でもひとり勝ちさせてくれるフラペンS85。そして何を投げても釣れない状況の時にそれでも最後に釣らせてくれる頼れるルアー、それがフラペンS85なんです。
フラペンS85の種類
フラペンS85を語る上でまずはじめに確認しておきたいのは種類のことです。
フラペンS85にはモデル違いで5種類のルアーが存在しており、シーバス向けの「S65」「S85」「S85シャロー」と、青物向けのブルーランナーモデル「S85」と「S115」があります。基本的なコンセプトは同じでもエリアやターゲットに合わせてセレクトすることができます。
種類 | サイズ | 重量 | フック | リング |
フラペンS85 | 85mm | 15g | #6 | #3 |
フラペンS85シャロー | 85mm | 12g | #6 | #3 |
フラペンS65 | 65mm | 11g | #10 | #2 |
ブルーランナーS85 | 85mm | 28g | #4 | #3 |
ブルーランナーS115 | 115mm | 38g | #2 | #6 |
シャローモデルはオリジナルよりも3g軽く、青物向けモデルはオリジナルよりも13gも重くなっておりフックも大型の#4が搭載されています。しかしシーバス釣りで圧倒的一番人気なのはオリジナル15gモデルのフラペンS85です。遠投慣れしている方からすると軽すぎるんじゃないかと思われがちですが、逆風の状況にも強くこのサイズ感としては飛距離は十分。実体験でもこの3モデルを全てシーバス釣りで試してみましたが、総合的に一番使いやすく一番釣れたのはやはり愛するオリジナル15gモデルが圧倒的でした。
間違えないでください。ブルーランナーでもなく65でもなくシャローでもありません。一番釣れるのはオリジナル15gです(あくまで個人的)。
▶カラーチャート
フラペンS85オリジナルのカラーは全部で8色(シャローモデルやブルーランナーシリーズではカラーラインナップは違います)。
僕の一番押しのカラーは10Hケイムラコットンキャンディで88cmを釣ったのもこのカラーだし、他にもこのカラーでランカーを釣っているのでおすすめです。また元マリアのアンバサダー兼営業マン(現アピア)の永島氏が現在も三浦半島で愛用しているカラーは24Dモザイクチャートで、マリア在籍時のブログでも釣りまくっている様子が公開されています。
他にはボラグローもナイトでの実績が高く、イワシは朝マズメでの釣果があります。今のルアー業界だったら発売からしばらくするとNEWカラー発売とか釣具店オリカラ発売とかも珍しくないですが、フラペンS85もそういったカラーが出てくれていれば・・・というか今出て欲しいです(笑)。
フラペンS85の特徴
それではフラペンS85の特徴を見ていきたいと思います。
フラペンシリーズと言えば何と言ってもボディ後方に設けられた「フラップ」。この他に類を見ないリップのような形をしたフラップがフラペンの最大の特徴であり唯一無二の武器となっています。
飛距離を伸ばすフラップ
このフラップは通常のリップとは違って可動式になっているためキャストした際に折りたたまれ、空気抵抗を減らしながら飛んでくれるのです。固定重心も相まって小粒のルアーの割には誰でも安定した飛距離を出してくれます。この誰でもってのがいいですよね。
後方波動を生むフラップ
着水して巻き始めると折りたたまれていたフラップがオープン。まるで通常のミノーが反対向きになったかのように後方にリップが付いたような状態になって、ボディの後ろから波動を出して泳ぎ出します。この後方波動は実際のベイトフィッシュが尻尾を動かした時の波動と酷似しており、他のルアーにないこの波動がこれまで反応がなかったシーバスを刺激します。
レンジキープしやすいフラップ
後方にあるフラップは水流を受けると水を下に受け流すために本体に揚力が生まれます。これによってレンジキープがしやすくなり、中層から表層までのレンジを泳がせやすくなるのです。ただのシンペンと違ってリップがあるので適度な引き抵抗が潮流の変化も感じやすくさせてくれます。
唯一無二の集魚力!
フラペンS85をじっくり見ていると想像と妄想が止まらない。小粒なのに遠くのポイントまで届く抜群の飛距離、着水後のフラップオープン、瞬時に動き出すルアーアクション、そしてそこから生まれる波動をイメージして、それに吸い寄せられたシーバスがたまらず喰らいついてくる姿が想像できます。
フラペンS85に限った話ではありませんが、こういった他に類を見ないルアーというものは時に圧倒的パワーを発揮します。シーバスでもフラットフィッシュでもブラックバスの世界等でもそうですが、新ジャンル系のルアーが登場した際は魚の反応が素直なことが多いですよね。「スレ」なんて言い方もされますが、魚も学習する生き物なので見慣れた動きには飽きてしまいやすいですし、何度も見ていればすぐに偽物とバレてしまうのかもしれません(そもそもルアーは疑似餌ですが)。
そういった意味では今まで見たことのない姿、今までに見たことのないアクションを持つ唯一無二のルアーの力は強力。周りに使っている人が少ないルアーだからその集魚力は一回りも二回りも大きなものになっているでしょう。
フラペンS85の使い方とおすすめの使用場所
それではここでフラペンS85の実戦的な使い方とおすすめの使用場所についてお話ししていきます。
フラペンS85の使い方
フラペンS85の使い方はとっても簡単、ただ巻きでOKです。時々スポット的にフォールさせて狙ってみてもいいのですが基本的にはレンジを意識したタダ巻きで大丈夫です。着水してからのカウントダウンでスタートさせるレンジを決め、そこからは巻き速度とロッド角度で少しずつレンジ調整をおこなってください。イメージ的に参考にしてもらうならブルブル感が強くなり過ぎない程度にブルブルを感じるか感じないかぐらいのゾーンを引いてくるのがおすすめです。これでシーバスがいる泳層を探し出していきます。一度広めのところで目視できる状態で、どのくらいの速度で動かすとレンジキープできるのか感覚を掴んでおくと根掛かりによるロスト確率が下がるのでおすすめです。
フラペンS85のおすすめの使用場所
フラペンS85を使用する上でのおすすめポイントはズバリ!シャローエリア。どんなところの?と言うと河川、港湾部、小磯、干潟、遠浅サーフとほぼどこでも良いのですが、やっぱり遠くのシャローエリアでも引きやすいという特徴を存分に活かしたいので、特におすすめは小磯、干潟、遠浅サーフです。逆に足場が高い場所は浮き上がりやすいという特徴からあまり向いていません。また足元からドン深な磯やボートシーバスでのオープンエリア等でもサイズ感が小粒な故にミスマッチという気がします。ただその中でもピンポイントで際を狙うとか魚の着き場やボイルを狙うとかそういったシチュエーションなら問題ないでしょう。
惜しまれる廃盤で入手は困難!
そんなこんなのフラペンS85ですが2020年末頃に廃盤となりました。釣れなくて消えていったルアーはたくさんあると思いますが、釣れるのにその魅力が伝わり切る前に消えてしまう運命になってしまったとても悲しく残念なルアーなんです。大切なものはなくなってから気付くと言いますが、フラペンS85も廃盤になってからその良さに気付いた方も多いですよね。当時にもっとSNSが普及していればもしかしたらまだ現行品として残っていたかもしれませんね。
青物向けのブルーランナーは現行品として販売されていますが、シーバス向けのフラペンS85は既にメーカー在庫なしとなっており、廃盤になってからもう4年も経過しているため釣具店に新品で残っている可能性はほぼほぼないと言ってもいいでしょう。入手困難間違いなしの状況で、手に入れる方法は中古釣具店かオークション等で購入するしか手段がなくなっています。近年は廃盤ルアーの高騰化も珍しくありませんので近い将来プレミア化するのも間違いないでしょう。
まとめ
他に類を見ない唯一無二のシーバスルアー、フラペンS85。どこかで見つけることができたら是非とも手に入れていただき、皆さんのシーバスフィッシングのお供としてルアーボックスに同行させてあげてください。きっと素敵な思い出を作ってくれると思います。
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